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朝比奈みくるはなぜ未来を知らされないのか|未来人なのに「今」を生きる少女

  本編映像と公式資料に基づき、全引用箇所を検証済みです。
朝比奈みくるはなぜ未来を知らされないのか|未来人なのに「今」を生きる少女

朝比奈みくるは未来人だ。

でも高校生のみくるを見ていると、未来人という言葉から想像する姿とはかなり違う。未来で何が起きるのかを何でも知っているわけではないし、自分の意思で時間を自由に行き来できるわけでもない。

むしろ、未来のことを聞かれても「禁則事項」で答えられないことの方が多い。

未来人なのに、未来をほとんど知らされていない。

どうしてみくるは、そんな状態でこの時代にいるんだろう。

もちろん、何も知らないわけではない。ハルヒを観測するためにこの時代へ来たことや、自分に何らかの役割があることは分かっている。でも、その先に何があるのかまでは教えられていないように見える。

今回は大人のみくるではなく、高校生の朝比奈みくるに絞って考えてみたい。未来を知らされないまま過去へ来た彼女が、どうやってこの時代の「今」を生きているのかを見ていく。

未来人なのに、みくるは未来をほとんど知らされていない

みくるは、自分が未来から来たことを知っている。ハルヒが未来人たちにとって重要な観測対象であることも分かっている。

だから「何も知らない未来人」というわけではないんだと思う。

ただ、持っている情報はかなり限られている。未来で何が起きるのか。この時代で自分が何をすることになるのか。ハルヒを観測し続けた先に何があるのか。そうした全体像まで、高校生のみくるが知っているようには見えない。

キョンへ自分が未来人だと明かしたあとも、詳しいことを聞かれると「禁則事項」になる。

この言葉って、みくるという人物をかなりよく表している気がする。

本人が話したくないから黙っているというより、最初から知っていいこと、話していいことに線が引かれている。未来から来た本人が、未来について一番自由に話せない。

考えてみれば、それも不思議ではないのかもしれない。

未来の出来事を知れば、その情報をもとに行動が変わる。過去での行動が変われば、その先に続く未来も変わってしまう可能性がある。

アニメでは、未来側がどこまで何を考えて情報を制限しているのか、その全体までは分からない。ただ、みくるが知らされない状態に置かれていること自体には、ちゃんと意味があるように見える。

未来を知っている人というより、未来からこの時代へ送られてきた人。

高校生のみくるを見るなら、そのくらいの方が近いんじゃないだろうか。

SOS団にいることを「必然」として受け入れる

そもそも、みくるは自分からSOS団へ入りに来たわけではない。

ハルヒに見つけられ、かなり強引に部室へ連れてこられ、そのまま団員にされる。本人からすれば予定していた出来事ではなかったはずだ。

それでも、部室にいる長門たちを見たみくるは、ただ逃げようとはしない。

自分が持っている情報と、目の前に揃っている人たちを見比べて、「だったら自分もここにいることになるんだ」と受け入れたように見える。

ここも、高校生のみくるらしいところだと思う。

未来でどういう形になっているのかは分からない。長門や古泉と未来側でどんな関係があるのかも、高校生のみくるには見えていないのかもしれない。

それでも、この時間平面にハルヒがいて、長門がいて、キョンがいる。その中に自分まで入ったのなら、そこには何か意味がある。

みくるはそんなふうに、自分が置かれた状況を受け入れているように見える。

もちろん、ハルヒの行動まで全部納得しているわけではない。無茶をされれば困るし、どうしようもなくて諦めているような場面もある。

でも、「どうして自分がこんな時代にいなきゃいけないのか」と役割そのものを拒絶している感じはあまりない。

全部を知らなくても、自分がここにいることは受け入れている。

みくるは最初から、そういう立場でこの時代を生きているんだと思う。

未来人なのに、自分で時間を選べない

未来人という言葉には、時間を自由に行き来できるようなイメージがある。

でも高校生のみくるは違う。

『笹の葉ラプソディ』ではキョンと一緒に3年前へ移動する。でも、そのあと自分の力だけで元の時間へ戻ることはできず、長門の助けを借りることになる。

時間を移動できる存在ではある。でも、その時間を自分の好きなように選び、好きなときに行き来しているわけではない。

どこへ行くのか。いつ帰るのか。そこで何をするのか。

高校生のみくるは、そういう大きな流れを自分で決める側には見えない。

未来側から与えられた役割があって、その中を進んでいく。必要な情報は渡されるけれど、その理由まで全部教えてもらえるわけではない。

考えてみると、未来人なのにかなり受け身なんだよね。

長門なら、自分で情報を操作して状況を変えることができる。古泉にも、閉鎖空間では自分で動いて対処する力がある。

でも高校生のみくるには、そういう強い力がほとんど見えない。

未来から来たという一番派手そうな肩書きを持ちながら、実際には決められた流れを受け取っている。

そこが、みくるという未来人の少し変わったところだと思う。

未来との接続が切れると、道標までなくなる

その立場が一番分かりやすく見えるのが、『エンドレスエイト』だと思う。

夏休みが繰り返され、9月へ進めなくなる。未来とのつながりにも異常が起きると、みくるは強い不安を見せて泣いてしまう。

エンドレスエイトで繰り返された夏休みを考える↗

自分がいた未来へ戻れないと分かれば、怖いのは当然だ。

でもみくるの場合は、帰れないことだけが怖いわけでもなさそうに見える。

普段のみくるには、完全には分からなくても、自分が進むべき流れがある。未来側から何かを与えられ、その中で行動していけばいい。

ところがエンドレスエイトでは、その先自体がなくなる。

未来へ戻れない。未来側にもつながらない。そして自分には、この状況を一人で解決できるような力もない。

決められたレールを歩いてきた人にとって、急に道標が消える不安はかなり大きいと思う。

みくるが泣いてしまうところには、本人の少し気弱でかわいらしい性格も出ている。でも同時に、それまで頼っていた流れそのものが見えなくなった怖さもあるんじゃないだろうか。

自分で考えていない、というのとは少し違う。

それまで、自分で全部を決めなくても進めるように置かれていた。その状態で突然「ここから先は分からない」と言われれば、不安になるのは自然なことだと思う。

知らない未来より、目の前の日常を生きている

ここまで見ると、高校生のみくるはかなり不自由な人物に見える。

未来のことは十分に知らされない。時間を自由に選べるわけでもない。この時代で自分が何をすることになるのかも、最初から全部教えられているわけではない。

それでも、SOS団で過ごしているみくるが、この生活そのものを嫌っているようには見えない。

ハルヒの無茶にはかなり困らされている。強引に服を着せられたり、映画撮影で振り回されたりして、さすがにかわいそうだと思う場面もある。

でも、みんなと一緒に遊んでいるときのみくるは普通に楽しそうだ。

部室ではお茶を淹れ、周りの人を気遣う。人の世話をすること自体も、みくるにはかなり自然に見える。最初はハルヒに着せられただけだったメイド服も、いつの間にか部室にいるみくるの姿として馴染んでいく。

いろいろな服を着たり、普通の高校生活ではなかなか経験しないことに巻き込まれたりするのも、全部が嫌という感じではない。

未来へ帰るまで、この時代を我慢して過ごしているようには見えないんだよね。

未来でどんな生活をしていたのかは分からない。でも今のみくるは、この時間平面でしかできない生活を、そのまま自分の日常として過ごしている。

未来人として大きな流れを自分で決めることはできない。それでも、その中で誰と話すか、誰にお茶を淹れるか、みんなとどんな放課後を過ごすかまで決められているわけではない。

未来を自由に選べなくても、その時間をどう過ごすかまでは奪われていない。

だから高校生のみくるを見ていると、「未来から来た人」というより、この時代で普通に高校生活を送っている一人の女の子に見える瞬間が増えていく。

未来人なのに、未来をほとんど知らされない。

でも、先が分からないから何もできないわけではない。

与えられた場所で、目の前にいる人たちと一緒に過ごす。その積み重ねで、最初は任務として来ただけだったこの時代が、みくる自身の日常になっていく。

未来のことを一番知っていそうな未来人が、実際に生きているのはいつも「今」なんだと思う。

そう思ってみくるを見直すと、「禁則事項」で困っている姿や、未来へ戻れなくなって泣いている姿だけじゃなく、SOS団のみんなと普通に笑っている時間まで少し違って見えてくる。

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